強迫症の概要

強迫症とは何か

強迫症(きょうはくしょう、英: Obsessive-Compulsive Disorder, OCD)は、精神障害の一つで、自分でもコントロールできない特定の思考や行動が繰り返し現れ、不安や苦痛をもたらす疾患です。
この症状は、個人の日常生活に大きな制約をもたらし、社会的機能や生活品質に影響を及ぼすことがあります。

強迫症は、主に以下の2つの主要な症状で特徴づけられます:

  1. 強迫観念(Obsessions)
    不合理な不安や恐れ、不快感を引き起こす強迫観念を持ちます。
    これらの強迫観念は、侵入的で不適切なものであることが多く、例えば感染症への恐れ、無秩序への不安、害を加えることへの過度な不安などが含まれます。
  2. 強迫行動(Compulsions)
    強迫観念から逃れるために、患者は特定の行動や儀式を繰り返すことがあります。
    これらの強迫行動は、一時的には不安を和らげるかもしれませんが、長期的には問題を悪化させることがあります。
    例えば、手を何度も洗う、物を数える、物を整理するなどがあります。

強迫症は、その症状の強度や頻度によって程度が異なり、軽度から重度まで幅広い症状を示すことがあります。
また、この疾患は通常、思春期から若年成人期に発症し、成人期にも持続することがあります。


■正常な不安の場合
■強迫症の場合
1.心配なことが発生
自宅のカギをかけたかどうか心配になる。
1.心配なことが発生
自宅のカギをかけたかどうか心配になる。
2.確認行動
家に戻り、カギがかかっていることを確認する。
2.確認行動
家に戻り、カギがかかっていることを確認する。
3.解決
安心して外出できる。
3.確認行動を繰り返す
確認しても安心は長く続かず頭の中で確認を繰り返してしまう。


強迫症の主な症状

下記は強迫症の一部を挙げています。

洗浄強迫症

綺麗好きで、何度も手を洗う、物を洗うなどの洗浄行動を繰り返すことで不安を和らげようとします。
自分や家族がばい菌に汚染されるような感じがして、手を洗い続けたりします。

加害恐怖

他人に害を加えることへの恐れや不安が特徴です。
この症状は一般的な恐れや不安とは異なり、自分の過失によって起こるかもしれない事故などが気になって確認行動を繰り返します。(火を消したか、ドアを閉めたか等)

強迫性緩慢

日常生活において完璧な行動を行おうとし、頭の中で行動の確認をずっと繰り返す強迫症です。頭の中で繰り返し確認行動が行われるため「場面緘動」として症状が現れることもあります。

数える強迫症

数字や物の数がすべてそろえることなどに強いこだわりを持ち、何度も物を数えたり、特定の数になるように行動、何度も並べなおすなどし、すっきり感を求め不安を軽減しようとします。

順序強迫症

特定の順序やパターンに従わなければならないと感じ、物を整理したり、特定の手順に従ったりします。
順序が乱れることへの不安が主要な要因です。

貯蔵強迫症

物を捨てることができず、不要な物を貯め込む傾向があります。部屋や家が物を捨てたことで後悔するのではないかという恐れからくるものです。物であふれてしまうことがあります。

考えられる原因

強迫症は、複数の要因が組み合わさることによって発症する可能性があります。以下は、強迫症の原因と考えられる要因のいくつかです。

  1. 遺伝的要因
    遺伝学的な研究によれば、強迫症は遺伝的な要因によって影響を受けることがあります。家族歴に強迫症を持つ人がいる場合、その個人の発症リスクが高まる可能性があります。
  2. 神経化学的要因
    脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることが強迫症の原因の一つとされています。特にセロトニンという神経伝達物質が関連していると考えられるという説もあるそうです。
  3. ストレス
    過度のストレスや精神的なトラウマが強迫症の発症に関与することがあります。特に、ストレスフルな出来事や大きな変化が生活に影響を与える場合、症状が現れる可能性が高まります。
  4. 個人の性格特性
    神経線維質や完璧主義の傾向を持つ人々は、強迫症にかかりやすいとされています。完璧さやコントロールへの強い欲求が強迫症症状を悪化させることがあります。

これらの要因が単独で強迫症を引き起こすのではなく、相互に影響し合うことが多いようです。
強迫症は個人差が大きく、症状の程度も異なります。

強迫症になったかなと思ったら

強迫症の症状が気になり、強迫症になった可能性がある場合、以下のステップを踏むことが早期改善につながるようです。

  1. 専門家に相談する
    まず、精神保健専門家に相談しましょう。精神科医や臨床心理士が適切な評価を行い、症状を確認し、適切な診断を行うことができます。
  2. 症状の記録
    自分の症状や不安を詳細に記録しておくと、専門家に症状の理解を助ける手助けになります。症状がどのように現れ、日常生活にどのような影響を及ぼしているかを記録することもいいようです。
  3. 早期干渉
    強迫症の早期干渉は非常に重要です。早期に治療を受けることで、症状の進行を遅らせ、緩和することができるようです。
  4. 治療
    一般的な治療法には認知行動療法(CBT)、薬物療法、またはこれらの組み合わせが含まれます。専門家が最適な治療プランを提案してくれるでしょう。
  5. サポートを受ける
    強迫症の治療は一人では難しいことがあります。家族や友人に支援を求め、サポートを受けることが大切です。また、サポートグループに参加することで、他の人々との共有が役立つことがあります。
  6. ストレス管理
    ストレスは強迫症の症状を悪化させることがあります。ストレス管理技術やリラクゼーション法を学び、ストレスを軽減することが大切です。

人によって症状の強弱があると思いますので、まずは自分に合うクリニックを見つけ、専門家の意見を聞いて症状改善に向けていってください。